「加圧トレーニング」のメカニズムをトレーナーが解説:no.1
加圧トレーニングは、専用のベルトを使って、血液の流れを適切にコントロールするトレーニング方法です。
血液を適切にコントロールすることで、腕や脚に血液を貯めることが加圧トレーニングの目的です。
実際には、血液だけではなく乳酸や老廃物なども一緒に貯めていきます。
この乳酸が超重要!
乳酸は成長ホルモンを分泌するためのカギと言われています。
加圧トレーニングは、短時間・低負荷なのに、なぜ筋肉を成長させることができるのか?
3回シリーズで書いていきますので、ぜひお付き合いください。
血液と乳酸を貯める
こんにちは、福岡みらいスタジオの石田です。
皆さんは「加圧トレーニング」にどういったイメージを持っていらっしゃいますか?
私は加圧トレーニングインストラクターとして活動していますが、
・加圧トレーニングって本当に効果があるの?
・加圧トレーニングじゃなきゃダメなの?
こういった質問をいただくことが多いので、私が知っている知識をブログにしてみます。
まず、加圧トレーニングは専用のベルトを使って、血液の流れを適切な状態にコントロールしておこなうトレーニング方法です。
加圧ベルトを「腕」や「脚」のつけ根に巻いて、圧をかけていきます。
この時に何が起こっているかというと、心臓に戻ろうとする静脈の流れをコントロールして血液を「腕」や「脚」の末端に貯めていきます。
心臓から末端に向かう動脈の流れは止めないように圧をかけることが重要です!
血液がどんどん貯まっていくと、運動をすると細胞内の酸素濃度が低下していきます。
(上図は、差がわかりやすいように右腕にのみ加圧ベルトを巻いています。)
酸素濃度が低下すると聞くと危なそうに聞こえますが、ご安心を。
これは通常のウエイトトレーニングでも起こる一般的な反応です。
血液の流れを適切にコントロールしているので、その反応が速いのが加圧トレーニングの特徴です。
筋肉は主に速筋と遅筋の2種類に分かれます。
通常、速筋は重い負荷のトレーニングで鍛えられ、遅筋は軽い負荷のトレーニングを長時間続ける必要があるため、通常2つの筋肉を同時に鍛えることはできません。
加圧トレーニングを始めると、加圧しているために血流量が充分ではなく、すぐに活動を始めた遅筋の酸素が足りなくなります。
これは、大きい負荷の運動を行っているのと同じ状態を人工的につくり出しているということです。
そのため、通常はなかなか活動を始めない速筋が大きい負荷を受けたと脳が錯覚して、すぐに活動を開始するよう指示を出します。
加圧トレーニングでは、軽い負荷で速筋と遅筋を同時に鍛えることができるのです。
成長ホルモンの分泌が290倍
東京大学の石井直方教授の研究によると、加圧トレーニングを行うと、平常時にくべて290倍の成長ホルモンが分泌されるといわれています。
この成長ホルモンを分泌するためには、乳酸が必要です。
加圧トレーニングは、この乳酸濃度を高くしているのですから、成長ホルモンの分泌が高くなっても不思議ではありませんね。
成長ホルモンが分泌されるから筋肉が成長しやすい!
と思われがちですが、ちょっと違います。
成長ホルモンは筋肉の成長には作用しないのではないか?!という研究論文が発表されています。
これは次回説明しますが、筋肉の成長には「IGF-1」というホルモンがカギを握っています。
乳酸はこの「IGF-1」の分泌を促す効果があるといわれています。
つまり、加圧トレーニングで乳酸濃度を高めることで、筋肉を成長させる「IGF-1」の分泌を高めることができるのです。
乳酸を貯めるには?
加圧トレーニングのメカニズム:その1「乳酸濃度を高めて成長ホルモンを分泌させる」
これさえ覚えていただければOKです。
普通のトレーニングでは成長ホルモンは分泌されないの?
と疑問に思いませんか?
上記の通り、一般的なウエイトトレーニングでも、酸素濃度は下がり、乳酸が分泌されて、成長ホルモンの分泌が促されます。
なので、絶対に加圧トレーニングじゃないとダメ!ということではありません。
血液の流れ適切にコントロールすることで、短時間&低負荷でできるというメリットがあるので、私は加圧トレーニングをオススメしています。
一般的なウエイトトレーニングであれば、乳酸濃度を高めるために60~120分くらいの時間がかかるところを、加圧トレーニングでは20~30分ほどの時間しかかかりません。
また、トレーニングに必要な負荷は一般的なウエイトトレーニングの1/5で同等の効果が出るという研究結果が出ています。
短時間・低負荷で良いのであれば、運動が苦手な方でも、トレーニングの効果を体感しやすくなります。
私が思う加圧トレーニングの一番のメリットはこれです。
あ、因みに…成長ホルモンは脂肪を燃焼させる効果があるので、ダイエットしたい女性には本当にオススメです。
というわけで、次回は筋肉を成長させる「IGF-1」について書いてみます。
ぜひ、次回もお付き合いください。